「私の開放日誌」2022年

この作品で初めてソン・ソックを認知し、沼にハマりました(笑)

田舎の実家と都会の会社を通勤電車で往復するだけの退屈な日常を過ごすミジョンが、訳ありでミステリアスな雰囲気を醸し出す無口なク氏に「私を崇めてよ」と言うシーンが話題になった作品です。

登場人物みんなが魅力的でした。

個人的に好きだったのは、イエルさん演じるミジョンのお姉さん。(トッケビでは色気たっぷりな綺麗なお姉さん、たまに特殊メイクで老婆でした。)気が強くてわがままなのに、好きな人の前では借りてきた猫のように大人しくなるところがかわいかったり、バチバチにかかりすぎたパーマ姿で帰宅し不貞腐れてるシーンは面白かったです。

ク氏に救われたミジョン。

でも実は、ク氏の方が先にミジョンに救われていたことがわかり、態度や言葉に表さなくても想い合っていたんだとグッときました。

これはドラマじゃなく現実においても、意識的にでなく偶発的に誰かを救っていたり、救われたりすることもあるんだという気づきにもなりました。

また、あんなに元気で働き者のお母さんが突然亡くなっていて、そしてまさかのお父さんが再婚していてびっくりしましたが、再婚相手が穏やかな良い方で「長く生きているとこんな良いこともあるんだなと思った」とにこやかに話しているシーンが心に残りました。

たくさんの印象的なシーンがあったのですが、中でも、夜中に二人で暗い山道を登り、頂上から自分たちの暮らす集落の控えめな明かりを見下ろすシーンが、湿度や心臓の鼓動までも感じられるようで、とても美しかったです。

また、冒頭のお寺の階段に二人並んで会話するシーンも、泣ける程優しいエピソードで、自然の美しさも相まって、印象的でした。夏の暑い中の農作業や雪に舞い散る冬のシーンなど、四季を感じることのできる美しい作品です。

ク氏とミジョンの関係を見ていると、人生において、楽しいことを共有できる相手はきっとたくさんいるけれど、心の奥底にある寂しさや虚しさを共有できる相手こそ貴重で稀な存在なんだろうなぁと感じました。

そして、不幸の中にいる時は苦しいけれど、ある日意図せず偶然に、誰かや何かに過去の自分が救われる瞬間もあって。。人生の奥深さを感じさせられる作品でした。

元のダークな世界に自ら戻り、ミジョンのことや田舎での生活を忘れたかのように虚しい日々を淡々と送るク氏が、「ヨム・ミジョン!」と叫ぶシーンには心が震えました。。やっぱり心の奥底ではミジョンを求めていたことがわかり、ミジョンに会いたい気持ちを押し殺して耐えていたことがハッキリと明らかになったシーンでした。

また、OSTが素敵で、日本語訳で「一緒にいられますように」という曲の少し寂しげなメロディーは、本当は孤独で寂しいク氏が田舎で見つけた幸せを大切に思う気持ちを表現しているようで、涙がじわっとしてきます。